なにわの伝統野菜が飴になって復活!
創業明治5年の老舗が作るこだわりの味

1872年に創業し、茶の湯の干菓子「有平糖(ありへいとう)」と日本古来の「飴(たがね)」をミックスさせた自慢の飴を130年以上にわたって作り続けておられます。

「豊下製菓」

産経新聞「たうん うぉっちんぐ」に掲載されました
一面すべてを使っての紹介で本当にわかり易く説明がなされていました(少し詳しすぎかな?)

なにわの伝統野菜が飴になって復活!
創業明治5年の老舗が作るこだわりの味豊下製菓
毛馬きゅうり、天王寺蕪、泉州水茄子、勝間南瓜(こつまなんきん)…。昨年10月号の大阪雑学で、なにわの伝統野菜のことをご紹介したんですが、みなさん覚えてくれてはりますやろか?一度は姿を消しかけたにもかかわらず、近年復活の兆しを見せているなにわ育ちの野菜の数々です。今回はそんな伝統野菜を使って、こだわりの飴を作っている会社があると聞き、取材にうかがってきました

有平糖作りの老舗が開発した懐かしくて新しい味

世界最強と評される大版のおばちゃんたち。声が大きい、必ず値切る…など、数ある特徴のひとつにあげられるのが、カバンの中に必ず「飴ちゃん」が入っていることなんやそうです。
そんな大阪のおばちゃんと、切っても切り離せないおいしい飴を作り続けているのが大阪市阿倍野区美章園にある豊下製菓さんです。1872年に創業し、茶の湯の千菓子「有平糖(ありへいとう)」と日本古来の「飴{たがね)」をミックスさせた自慢の飴を130年以上にわたって作り続けておられます。
 長い歴史の中で、昭和5年に作ったイチゴジャム入りキャンデー「スッロベリーボンボン」をはじめ、第二次大戦後作られたミリオンジュースボール・パターボール・チョコボールといった代表的な商品は、これまで各地の菓子博での内閣総理大臣賞や名誉総裁賞を受受賞。その背景には作り手の強い創作意欲が感じられます。取材の際に、
飴の質の裏さを実感
一しました。
一そんな老舗ならではの技とこだわりが、なにわの伝続野菜を飴で復活させたのです。その名もずばり「なにわの伝統飴野菜(内容量12粒、定価525円)」。五代目の豊下正良社長にお話しをうかがうと、日本伝統食品研究会やなにわの伝統野菜の生産者との出会いが、この飴の開発のきっかけだったとか。「2000年の秋になにわの伝統野菜の収穫祭に参加して、天王寺蕪を食べたところ普通の蕪より10倍も蕪の昧がして感動しました。これがなにわ伝統野菜の特徴なんですね。そこで、蕪の絞り汁を入れて飴を作ってみたら、しっかりと蕪の昧のする飴ができたんです。そこから、毛馬胡瓜、泉州水茄子…と手に入るようになった伝統野菜で飴を作っていきました。」
こうして、田辺大根、金時人参、毛馬胡瓜、勝間南瓜、天王寺蕪、玉造黒門越瓜(しろうり)、泉州水茄子の7種類の伝統野菜の絞り汁だけを使った「なにわの伝統飴野菜」が完成しました。胡瓜の全長は約5p、かぶらの直経は約2pなど、いずれも小指の先ほどのサイズですが、胡瓜のイポイボ、うりのシマシマまでしっかりと再現されていて、食べるのがもったいないほど精巧に作られています。


伝統野菜の絞り汁だけを使って
ひとつひとつていねいに手作り

2002年に「なにわの伝統飴野菜」として発売するやいなや、さまざまなメディアでも取り上げられて好評を博しています。実際に、毛馬胡瓜の飴を作る作業を見学させてもらうと、材料は砂糖と水飴、そして毛馬胡瓜の絞り汁。どの伝統飴野菜もこの基本の材料に、より本物に似せて仕上げるための自然な材粋がプラスされます。毛馬胡瓜の場合は胡瓜の色を出すために抹茶、イボイボを作るために黒いケシの実が使われています。
 手順は砂糖と水飴をよく混ぜたものを煮つめて、炊き上がった飴を鉄板に移します。少し置いてから、固まりつつある飴を作業台にへと移し、ここで抹茶を飴に乗せ、まんべんなく混ぜ込みます。その混ぜ方は手早くて、あっというまに飴がきれいな緑色に。次に、飴の生地
を棒にひっかけてよく練ります。空気を含ませることによってソフトな量感と食感ができるのだそうです。
 こうして練り上げた飴に、次に黒ヶシを混ぜてさらに練り上げげます。そして、形を整えながら、端の方を細く伸ばしてはさみでチョキン、また、伸ばしてチョキン。切られて隣の台に移された細長く薄縁の飴は、まごうことなき小さな毛馬胡瓜!職人さんたちの連携作業で
見る見るうちに完成していきました。できたてほやほやの飴をいただくと、上品な甘さの中に胡瓜の昧がほんのりと漂い、初めて食べるのに、なんだか懐かしい昧がしました。
 伝統野菜は、それぞれの地域にあったもの。例えば、泉州なすを関束の土地で育てても、決して泉州なすのようにはならず普通のなすになってしまうとか。その土地の気候風土によって独特の味や香り、色が生まれるのですね。「人間の都合でなく、自然の都合で作った野菜」という豊下枕長。飴以外にも勝間南瓜お手づくり最中(数量限定品)」や「毛馬胡瓜のざくざくゼリー(今夏販売予定)などのお菓子作りも手掛け、なにわの伝統野菜の復活と普及を後押しておられます。
「なにわの伝統飴野菜」は、ひとつひとつが手作りのため買いたい方は直接豊下製菓さんへ行くか、同社のホームページ(http//www.toyosita.com)にある通信販売の利用が確実。こでは紹介しきれないほど多彩な製晶が揃っていますので、ぜひどうぞ。