納税月報1月号「メーカー探訪」に掲載されました。
新年号ということもあり、正月にしか大阪では出回ることがない
「なにわの伝統野菜“木津金時”」(人参)の飴を作りました
「豊下製菓株式会社」
創業  1872年(明治5年)
本社  大阪市阿倍野区芙章園2-13-3
キャンデー・飴菓子の製造、販売を行う「豊下製菓株式会社」。明治5年の創業以来、数々の先進性のある商品を世に出してきた企業です。現在は、大阪の伝統的な野菜にも目を向けています。
今回は、代表取締役社長の豊下正良さんに、お話を伺いました。

浪速伝統の野菜を飴菓子有平糖で復活

 当社の製品には『なにわの伝統飴野菜』という特徴的な有平糖があります。なにわの伝統野莱のエキスが入った飴菓子です。
飴の甘味とともに野菜の風味が穏やかに広がり、見た目もそれぞれの野莱の形をした、とても可愛らしい菓子です。
 野菜本来の味を出すために、飴の中に水分を加えるというタブーを冒し、野菜の絞汁を入れてあります。培われた長年の経験を活かし、混ぜることのできる限界まで絞汁を入れることによって、しっかりした野菜の味を残すことに成功しました。また、"なにわの伝統野菜"と言い切ることができる原菜を見つけ出すこと、その安定供給の確保に苦労しました。
 この飴は完全な手作業によるため、大量に作ることはできません。利益を出すことなど到底できないものです。しかし、この飴を召し上がった方に、「大阪に、こんな珍しい名物があったのか」、「確かに、昔食べていた野菜はこんな味だった」などと思っていただくのが目的なのです。後世にまで残すべき大阪の伝統野菜を通じて、大阪の様々な伝統的な食文化に目を向けていただきたいのです。
 手間隙を惜しんでいては、当たり前に美味しい飴を作ることはできません。素性の確かな原料を使うことも大切です。製品を大量・廉価に供給するために、様々な要素を切り捨てていく引き算的な生産が一般的ですが、無駄と見られがちな手間隙こそが、当社の競争力であり強みであると思っています。