十八屋弥兵衛のひとりごと vol.4

-なにわの伝統野菜 -

飴のうんちくや日記の紹介
大阪は昔より商業や水運が盛んでした。そんな大阪には国内はもとより、諸外国の美味しい食材や珍しい食材も集まり、仕出し屋や料理屋の出現によって、独自の食文化が発達しました。
また、なにわの地は淀川や旧大和川の支流が運ぶ土砂と海退(かいたい)によって,野菜の生産に適した砂質土壌でしたので、野菜にもたくさんの名物が生まれました。
 毛馬胡瓜のふる里は与謝蕪村のふる里でもあり、四天王寺周辺は蕪(天王寺かぶら)の一大産地、「名物や蕪のなかの天王寺」です。『去来抄』では木津の堀割に根深(ねぶか:ネギのこと、別名:難波)が浮かび、金時人参(別名、大阪人参)や石川小芋は、全国の居酒屋のお品書きでお馴染みです。勝間南瓜は今東光の小説以降姿を消していましたが、平成十二年に探し出され、「中風封じ」の復活です。大阪しろな(別名、天満菜)はお揚げさんとたいて、なにわのお番菜(ばんざい:日常のおかず、副菜)の現役。水茄子(泉南地域で作られている)も大阪人にはお馴染みさん。田辺大根越瓜(しろうり)も独活(うど)も慈姑(くわい)も、かつては大阪の旬を彩(いろど)っていました。

 なにわの伝統飴野菜は、そんな野菜たちの復活を願って、その旬の風味を、有平糖に重ね合わせました。
ちょっと年輩のお人なら「そない言うたら、こないな味やった。」若い方なら「へぇぇ、昔の野菜てこんな味やったん。」そないな事を思うて、食べていただけたらうれしおます。

注釈:
緑色の文字で書かれた野菜は「伝統飴野菜」で使用している
なにわの伝統野菜です
毛馬胡瓜(けまきゅうり:現在の都島区一帯で作られた、黒イボ系のキュウリ)
(かぶら:天王寺蕪と呼ばれ、野沢菜のル−ツとしても有名)
根深(ねぶか:ネギのこと、別名:難波)
石川小芋(石川早生:大和川源流のひとつ、石川の流域が原産地、種芋としても流通している)
勝間南瓜(こつまなんきん:勝間村、現在の西成区玉出で作られた)
野菜の詳細は次回より


十八屋弥兵衛 謹白